競争の激しい物流・製造業において、止まらないマテリアルフローは企業の生命線です。その自動化を担う自律走行搬送ロボット(AMR)の導入が進む一方、多くの現場が共通の課題に直面しています。それは「充電時間によるダウンタイム」です。どうすればAMRを24時間365日、最大限に稼働させられるのか。トルコに拠点を置くAMRメーカー、Bluepath Robotics社によるWiferionソリューション導入事例を紹介します。
Ford Otosan社の社内イノベーションプロジェクトとして発足し、2023年に独立分社化したトルコのBluepath Robotics社は、プロセスの自動化によるヒューマンエラーの削減、効率の向上、職場の安全性の改善に貢献する、10種類以上のイントラロジスティクス用途向けの自律走行搬送ロボットを開発・製造しています。また、カスタマイズAMRも成功を収めており、2025年には米国に新たなオフィスを開設、世界中の自動車セクターのクライアントにサービスを提供しています。
従来の充電方法が抱える限界とは?
Bluepath Robotics社が開発するAMRは、時に24時間体制で稼働することが求められます。しかし、プラグ接続やスライディングコンタクトといった物理的な接触を伴う従来の充電方法では、いくつかの問題がありました。
- 長いダウンタイム:充電のためにAMRを長時間停止させる必要があり、フリート全体の生産性が低下する。
- メンテナンスコストの増加:物理的な接触による摩耗や損傷が避けられず、メンテナンスの手間とコストがかさむ。
- 柔軟性の欠如:充電のために決まった場所へ移動させる必要があり、ロボットの自由な動きを妨げる。
この状況を受け、Bluepath Robotics社のCCOであるFehim Duzgun氏は「当社のロボットは24時間体制で稼働することが多く、継続的にエネルギーを供給する必要があります。そのため、最大限の可用性を確保し、人的介入を最小限に抑え、同時に導入とメンテナンスが容易なソリューションが必要でした」とコメントしています。
24時間365日稼働を実現した「インプロセス充電」とは?
荷物の積み下ろしなどでAMRが稼働中に短時間停止するタイミングを捉え、その場でワイヤレスで自動的にエネルギーを補給することでAMRのダウンタイムを削減する方法という考え方であるWiferionの非接触充電ソリューション、etaLINK3000を活用した「インプロセス充電」を導入することで、従来の充電方法が直面していた課題を解決しただけでなく、それ以上のメリットを享受する結果になりました。
- 24時間365日の連続稼働を実現:充電のための休憩がなくなり、AMRの可用性が向上。
- メンテナンスフリー:機械的な接点がないため摩耗せず、メンテナンスコストを大幅に削減。
- 柔軟なレイアウト:充電パッドは床や壁など、生産ラインを妨げない場所に自由に設置でき、AMRの効率的な動線を維持。
- 高いエネルギー効率:最大93%という高いエネルギー伝送効率で、運用コストの削減にも貢献。
- シームレスな統合:既存の倉庫・物流システムやフリート管理システムとも完全に互換性があり、導入が容易。
Duzgun氏は、「この技術により、当社のソリューションの付加価値を大幅に高めることができています」と、その効果について振り返っています。

